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日誌69 ていわいの回想/ていわい

私がたけきの藩国に初めて訪れたのはかなり前のことだ。

どこかの藩へ登録したいが、力になれるかどうか不安だった私はとりあえずいろいろな藩を巡っていた。
たけきの藩には一緒に戦ったことのある志水と月光がいると知り、様子を見ようと立ち寄ることにした。ちょうど政庁帰りの月光を見つけ話をしていると、同じく共に戦った志水高末、当時面識はなかったが二郎真君など藩国の方も加わり相談に乗っていただいた。

そこに通りかかったのがたけきのこ藩王だった。
小柄ながらもその振る舞いからは一目で藩王であろうことが予想できた。物腰は柔らかいが芯はしっかりしている感じ、「うむ、惚れた」と思った。有り体に言えば「ファンになった」というやつだ。

主をいただくならこの人にしようと思いながらも、力になれるかどうか自信がなかった。
志水も月光も、平時は暴走気味だが一朝事あればその勢いのまま問題解決に向かえる「やる時はやる」人間だ。二郎さんも真面目で信じられる人だと感じられたし、藩内の雰囲気もいい、よほどの事がなければ大丈夫だろう。たけきの藩国の行く末を楽しみに見ていよう。そうした思いで、その時は登録を見送った。

しかし、この世界は「よほどの事」が大バーゲン中であるらしい。
その後、聞こえてくるのは怪しげな噂ばかり、やれ「たけきのこ藩王がにゃんにゃんに捕まった」だの、やれ「藩王が結婚する」だの。

久しぶりに藩国を訪れようとすると、なにやら煙が上がっていた。嫌な予感がする。
近づくと藩民とおぼしき人たちが、次々と逃げてくる。その中で比較的落ち着いていそうな人をつかまえて話を聞く。
「どうしました。なにがあったんです?」
「敵が、なんだかわかりませんが、突然敵が攻めてきて、それで政府から退避勧告がでたんです。」
「敵?敵ってなんです?・・・いや、それより藩王や政庁の人達は大丈夫なんですか?」
「藩王はFEGへ出向いていて留守です。政庁の人たちは私達を逃がしてから脱出すると聞きましたが、そのまま敵と戦うという噂も。今どうなってるかはわかりません。」
「くぅっ!志水、月光、おまえらがついていながらどういうことだ!」
我ながら勝手なものいいだが、その場にはいない2人に悪態をつくことで心を静めようとしていた。
顔を上げ、煙の筋が増えていく藩国の方を見た。
たけきの藩王、無事であればいいが。
・・・あ、あとついでに志水たちも無事であればいいが。

その後、藩王や政庁の人たちが無事であること、FVBに身を寄せていること、藩国民になるにはメガネが必要であること(これはただの噂らしいが)を知り、メガネを仕入れ、FVBに出向き、たけきの藩国へ藩民として登録をした。
このあたりは、いろいろな事がありすぎた。今はまだ思い出したくもないが、死ぬ間際にでも本にしてみようかと思っている。

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ていわいは手を止めると、ため息をひとつついた。当時のことを思い出し、少し暗い気分になっていた。
気分を変えるため、引き出しから一枚の写真をとりだすと両手で持ち上げ、顔を上げてその写真を見た。にま~っと満面の笑みになると椅子をくるくる回しだす。

「藩王様かわえ~~」

どこでどうやって手にいれたのか、その写真には何か突然の報を聞いてお茶を噴出すたけきのこ藩王が写っている。
ちなみに、ていわいは、短髪、無精髭のおっさん。かなり異様な風景である、っつーか、いや、もう、どこから突っ込んでよいやら。

その時、バタンっと扉が開いた。

走りこんでくる3人の男。3人とも褌と靴下、そしてメガネのみだ。

廊下から藩王の声。
「まてー、亡命先で恥さらすな!この変態どもー!」

「褌は男の正装!(ソックスは男のロマン!(小声))この真実がなぜ理解できん!」
「言うな、女には無理だろうさ」
「哀しい生き物なんですよ、女性というのは」
口々に言いながら、3人の男は窓から外へ飛び出して行った。

遅れて藩王が部屋へ飛び込んでくる。既に3人が部屋にいないのを見ると、呻くように呟く。
「覚えてろよ~。藩国に戻ったら、更正施設毎埋めてやる。」
ていわいは、いつのまにか直立不動で、コクコクと震えながらうなずいている。
藩王は、踵をかえすと、ていわいには気づかぬまま部屋を出ていった。

藩王が出て行くと、ていわいはぎこちない足取りで扉を締め鍵をかけた。
机まで戻ると口から何かを吐き出し、長く深く息を吐いた。口に入れていた物と恐怖のため、息をしていなかったのだ。

「ちくしょ~」
口から出したものをティッシュで拭きながら、ていわいは泣いていた。
扉が開いたとき、心臓が止まるかと思った。あまりの衝撃に写真を破いてしまい、人が入ってきたので慌てて隠そうと口の中に入れてしまったのだ。
「これ手に入れるのにどんだけ苦労したと思ってんだよ~」
ていわいは泣いていた。
「見てろよ~、風紀委員になってあの変態ども取り締まってやる~」
ていわいは泣きながら外を見た。
窓の外にはFVBの美しい景色が広がっていた。

ていわいが風紀委員の真の意味を知るのは、もう少し後の事である。

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こんな感じでいいのだろうか?
まさかの2部構成です。
おもしろい文章って難しい・・・orz

次はボロマールさん。
よろしくお願いします。


2007-04-04 03:45  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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