日記79 長期不在の後…/コダマゆみ
「帰ってきたねー」
「かえってきたねー」
「ジャガイモ料理が懐かしいねー」
「じゃがいも、なつかしーねー」
「たけきの神社、改装されるらしいよ」
「ほえー、ぱんだーらんど?」
「そーそー。今度、パンダ様を磨きにいこうねー」
「ぱんだー!ハナにニトロブースーターつけてって、おねがいするー」
「……ぱお(困っているらしい)」
「りこ、それはちょっとハナさんに悪いから」
仮設ではないたけきの藩国政庁前で、二人と一頭はのーんびりと散歩をしながら、そんな会話をしていた。
散歩と言っても、心和む風景ではないけれど。
「あちこち、壊れちゃってるねー」
「ちらかってるねー」
「あーあー、あの木、倒れちゃってる」
「だいじょーぶだよー。ハナ~」
「ぱおーん(気合を入れているらしい)」
ハナが長い鼻で倒木を起こし、二人でその根元に土をかける。
「よーし、これで大丈夫」
「だいじょーぶー」
「サイボーグに着替えてみたけど、コレってかなり便利ねー」
「ゆみおばちゃん、ちからもちー」
「ぱおん(自己主張しているらしい)」
「ハナも、ちからもちー」
ふと、周りを見回してみる。
倒れた柵や塀、枝の折れた木や、地面のあちこちに空いた穴。
目に入る屋根が壊れていたりするところを見ると、建物の中も、かなりひどい状態になっていたりするんじゃなかろうか?
「りこ、お散歩中止~」
「えー、まだまちにあそびにいってないよー」
「お散歩の前に、お片づけしよっか?」
「ほえー?」
「藩王さまのお客様もおみえだし、お家は綺麗にしておかないといけないでしょ」
「ぱんだーらんどは?」
「お片づけしたら、ご褒美にパンダ様のお守り(千歳あめ付)を買ってあげるから」
「ハナのぶんはー?」
「ハナさんの分も」
「わーい。ハナ、おかたづけてつだうよー」
「ぱおーん」
「それじゃりこ、お掃除用の服にお着替えだー」
「へんしーん」
二人と一頭は、猛烈な勢いで後片付けを始めた。
作業中に出会ったヒマそうなヒトは、問答無用で作業に引き込む。
散らかった瓦礫を片付け、あちこちに溜まったホコリや泥をこそぎ落とし、壊れた箇所を見つけたらチェックしてひわみさんに報告し……。
ついでに、目立たない場所に溜まっていた洗濯物(主にくつした)も一気に片付ける。
留守の間、散らかりっぱなしだったたけきの藩国内を綺麗に片付けて、二人と一頭は再び散歩を再開した。
もちろん、おやつの千歳あめ付で。
***
なんか、長くなった。
次は、大須さんですよぅ。
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